男の育休 息抜きブログ

不動産売却を成功させるためのポイント

不動産

最近、持家(戸建て)を売却するための売買契約を締結しました!いや~長かった…

不動産の売却では数千万というお金が動き、場合によっては知識の有無で数百万単位で損します。そのため、最低限、これくらいは抑えておいたほうがいいなと思ったポイントをまとめました。今回は、最も一般的な売却方法である仲介を対象とします。

売買の全体像

まずは、不動産売買の全体像を説明します。

共同仲介

共同仲介の概念図

これが基本形です。

  • 売主側の仲介業者(元付け業者)は、売主から仲介手数料を貰い、少しでも高く売れるように頑張ります。
  • 買主側の仲介業者(客付け業者)は、買主から仲介手数料を貰い、少しでも安く買えるように頑張ります。
  • 売主側、買主側の仲介業者は、それぞれがお互いの目的のために全力を尽くします。平和です。

ザックリと言えば、内覧時に不動産屋さんが2人いればコレです。

仲介手数料

  • 仲介手数料は、取引価格が 400万以上の場合は 取引価格(税抜)×3%+6万円+消費税上限です。
    • たとえば 3000万円の物件が売れた場合、仲介手数料は 105.6 万円です。
    • ただし、上限なので、価格交渉の余地はあります。
  • 仲介手数料は、売買が成立したら払います。物件が売れない限りは、仲介業者の利益はゼロです
  • 売主からすると物件価格が100万前後するのは影響大きいですが、仲介業者からすれば、物件価格が100万前後しようが、ほとんど利益に影響ありません(たとえば物件価格が 100 万円下がったとしても、仲介手数料は 3万円くらいしか下がりません)。

単独仲介(両手取引)

基本形では売主側の仲介業者と買主側の仲介業者が別でしたが、売主仲介業者は買主仲介業者にもなれます。

単独仲介の概念図

これを両手取引とも言います。この取引では、売主買主ともに、同じ仲介業者に手数料を払います。

ザックリと言えば、内覧時に不動産屋さんが1人しかいなければコレです。

両手取引の問題点

売主は高く売りたい vs 買主は安く買いたい…売主と買主の目的は真逆です

そのどちらも仲介する業者は、いったいどちらの味方をするのでしょうか?もちろん仲介業者も悪人ではないため、双方のちょうどよい落としどころを探ってくれると思いますが、自身の利益を最大化するために全力を出してはくれません。

横行する両手取引

「じゃあ両手取引しないほうが良いんだな」と思いますね?

ところがどっこい、そうもいきません。日本では両手取引の比率がかなり高く、5割を超えている会社もあるようです。
参考 ダイヤモンド不動産研究所 大手不動産仲介は「囲い込み」が蔓延?! 住友不動産販売の「両手比率」は52.26%! 不動産売却時は「両手比率」が高い会社に注意を【2021年最新データ】

広告掲載してるのは、ほぼ売主側の仲介業者

中古物件を探すときに99%の人は SUUMO や HOME’s や athome から問い合わせると思いますが、この場合、まず間違いなく両手取引になります。なぜなら、このようなポータルサイトに掲載してるのは、知る限りではほぼ 100% 売主側の仲介業者だからです。これは、ほとんどの場合で他社による物件の広告掲載が許可されておらず1、他社は広告を打てないためです(自社ホームページの広告も同様です。ただし『不動産ジャパン』というサイトについては、なぜか広告掲載区分に拠らずに物件情報が見れるっぽく、なぜそうなっているのかは正しく理解ができてないところです。公益財団法人不動産流通推進センターが運営している特殊なサイトだから、なんですかね…?)
参考 ダイヤモンド不動産研究所 家の売却を依頼した不動産会社は「味方」でなく、 物件情報の拡散にブレーキをかける「敵」だった! 売り主にとって大切な「広告転載」を理解しよう

広告が打てないんだったら両手取引以外の選択肢ないじゃん、と思いますが、両手取引を避ける方法はあります。

一般的に、物件情報はレインズというシステムに登録されています(後述しますが、媒介契約の種類によっては登録義務がないものがあります)2。不動産屋ならレインズに登録された物件を検索できるため、「物件紹介してくれ」と頼めば、他社物件も含めて紹介してくれます(自社で抱えている物件を優先して紹介しがちなので、見たい物件が決まってるなら「SUUMO のコレを見たいんですけど」と伝えたらいいと思います)。

REINS とは 引用元: http://www.reins.or.jp/about/

囲い込み

売主側の仲介業者が他社からの問い合わせを断ったりして、両手取引を狙うことです。

囲い込みの概念図

(本来は法律違反のようですが、営業活動はブラックボックスになっていて囲い込みをしているという立証も難しいという事情からか)なかなか横行してるようで、過去に自分も買う側で囲い込みに近いことを経験したことがあります。

  • 買主仲介業者経由で内覧を依頼すると「まだ内覧できません」と言われたのに、元付けに依頼すると「来週なら内覧できます」と言われた
  • 元付けに今後の内覧予定を尋ねると「内覧希望者が多いので交通整理のために、まずは自社のお客様を案内して、ひと段落したら他社のお客様を案内する予定です」と言われた
  • 昼間にいきなり不動産会社から電話かかってきて「本日、他社様から買付申込が入りました。今すぐ事務所に来て買付申込書を書いてもらえれば申込の順番を差し替えできます。」と言われた

正直不動産 面白いです

若干わき道にそれますが、こういった不動産業界の慣習や不正行為に興味がわいてきたという方は、『正直不動産』がおススメです。NHK でドラマにもなりましたね。自分は漫画で1-2巻読んだだけですが、エンタメとして面白かったです。

売却の流れごとの注意点

ここまでで売買の全体像と問題点を記載しました。ここからは、具体的な売却時の手順ごとの注意点を記載します。

不動産売却の全体の流れ

査定依頼

不動産会社に依頼すると、「これくらいで売れると思います」という査定を持ってきてくれます。

  • 適切な価格を把握するために、複数の会社に依頼すべきです
    • 適当な一括査定サイトで査定を申し込むと便利です。まあ結局、個別に電話が来て日程調整するだけなんですけど。
    • 前述の通り、仲介業者からすれば物件価格が100万下がろうが利益にはさほど影響ないので、もし1社だけの査定だと、相場よりも安い物件価格で媒介契約を取っておき、時間かけずにちゃっちゃと儲けようとするかもしれません。
  • 査定価格は売却価格ではありません。高い査定を持ってきたというだけで仲介業者を決めないでください。
    • 相場からあまりにも高い価格で成約することは稀です。結局は値下げ交渉などを経て相場程度の価格に落ち着くことが多いでしょうし、むしろやみくもに販売期間が延びると、警戒されて相場以下になる可能性すらあります。
    • 前述の通り、仲介業者からすれば物件価格が100万上がろうが利益にはさほど影響ないので、売れる見込みがないのに営業活動を長々と継続すると損になります。そのため、悪意のある見方をすれば、高値の査定で売主の気持ちを盛り上げて媒介契約を結んだのちに、まずは手を抜いて活動し、売れるか不安になってきたころに値引きさせればいいやと考えているかもしれません。(「干す」とか「値こなし」と言います)
  • 会社ごとに査定根拠が違うので、なぜその査定なのかをきちんと確認すべきです
    • 土地は、路線価や公示地価などをベースに概算できます(1物4価で調べるといろいろ出てきます)。
    • 建物は、再建築した場合の費用 x 25年までの残年数 / 25年 で概算できます。
    • 過去の取引事例は、国交省の土地総合情報システムで確認できます。
    • とはいえ、やはり、土地・建物は条件によって評価は大きくブレます。根拠を確認するのが大事です。
  • 売り出し価格を決めるのは自分です
    • 不動産会社の査定をそのまま採用する必要はありません。あくまでも参考です。価格を決めるのは自己責任です。
    • 自身で決めた物件価格に対して、おおよそ売り出し価格は次の通りかなと思います。
      • 通常の売却スケジュールであれば x 1.00~1.05
      • 売却に時間をかけられる場合は x 1.05~1.15
      • すぐに売却したい場合は x 0.9~1.0

媒介契約

契約の種類

大まかに 3 つあります。

契約種別複数の不動産会社との契約自分で買い手を見つけられるかレインズへの登録義務売主への報告義務
一般媒介oo登録義務なし規定なし
専属専任媒介xx契約から5日以内1週間に1回
専任媒介xo契約から7日以内2週間に1回
  • 一般媒介は、複数の不動産会社に売主側の仲介業者をお願いし、互いに競わせる方式です。
    • 複数社と契約できるので、囲い込みの心配は低いです(厳密には一般媒介の契約を結んだ各社の囲い込みは防げませんが)
    • 仲介手数料は、売却が成功した会社にだけ払います。「売却が成功しないと手数料を取れないので各社が競い合って熱心にやるだろう」、と考えるか、「頑張った挙句にタダ働きになる可能性があるから各社頑張らないかもしれない」、と考えるかは、あなた次第です。(個人的には、人気の物件であれば競争原理が働くんだろうな、と思います)
    • レインズへの登録義務がないため、客付け業者経由の内覧は期待できない可能性があります。ただし、依頼すればレインズに載せてくれる業者もあるようです(具体的な社名は控えます)。
  • 専属専任および専任媒介は、一社に仲介業務をお任せする方式です。
    • 先述の通り、囲い込みされる心配があります
    • 売主側から確実に手数料が取れるからか、割引も多い印象です。「専任契約を貰えるなら仲介手数料は 40% 引きします」という業者が何社かいました。

東京テアトルの調査によると、首都圏マンションの売却は、 専任媒介 > 一般媒介 > 専属専任媒介 だそうです。
参考一般媒介と専任媒介どっちを選ぶ?違いやメリット、割合を比較

どれがいいという唯一の正解はないと思いますが、それぞれの契約種別に応じて、売主としての立ち振る舞いが変わる(一般媒介を選ぶなら各社に対する指示や交渉をしっかりと自分で何社にも遂行する必要があるし、専属専任あるいは専任を選ぶなら本当に信頼できる営業マンを見定める必要がある)点は注意です。

どの不動産会社と契約するか

いちばん大事なのは、営業担当の方だと思います。

  • 各社ごとに、買主に対する保証の範囲やサービスなんかが細かくは異なります(たとえば無料のクリーニングが付いてたり)が、大手であれば、だいたい同じです。
  • 各社、自社HPの規模をアピールしたり、自社の営業所の強みをアピールしたりしますが、とある大手の営業さんによると、最近はスーモやらのポータルサイト経由の問い合わせが体感 80% だそうです。なので、細かいことを気にしても仕方ない気もします。
  • ただし、地域に強い不動産屋(地域の多くの物件の元付けになってる会社)があるなら、そこにお願いしたほうが内覧のついで見をしてくれる可能性は上がるかもしれないな、と思います。

ポータルサイトの写真が大事

とある大手の営業さんによると、最近はスーモやらのポータルサイト経由の問い合わせが体感 80% だそうです。ポータルサイトで物件を選ぶときは、やはり写真がモノを言いますので、写真撮影はモノを整理整頓したうえで、より多くの部屋を撮影したほうが良いと思います。

内覧対応

部屋をきれいに片付けておく、質問されたら答える、くらいです。

売買契約

契約内容について不明点があれば質問する、くらいです。

決済・引き渡し

まだ終わってないので、終わり次第追記します。

その他

3000万円特別控除を申請すれば、利益に税金がかかりません。単に 利益 = 売れた価格 - 物件を買った価格 となるわけではなく、居住年数で減価償却などの計算が必要になるようなので、思ってたより利益とみなされる額が大きくなる点には注意です。

終わりに

持家(戸建て)の売却活動で溜めた知見をまとめました。不動産売買は人生で何度も経験するものでもないので、知見が溜まりづらく、ボーっとしてると都合のいいように扱われる可能性もあります。ここに記載されていることは基礎の基礎なので、継続して自分で情報を収集し、納得できる売買になることを願っております。

Footnotes

  1. 試しに「広告掲載を許可してほしい」と何社かに頼んでみましたが、「ガバナンスの観点からお断りしています」とか「あ弊社のHPには掲載されるんで問題ありませんよ!(そういう事ではない。わざと知らないふりして答えてるのか本当に知らないのかどっち…)」という回答をされました。たぶん、ほとんどの大手は許可してくれないんだろうなと思ってます。

  2. レインズが直接見れれば Suumo とかいらんのでは、みたいな気持ちになるんですが、そもそも不動産屋さんから会費を集めて運営してるので、個人に直接見せる場合は誰から金取るねんという話だったり、個人情報保護の観点だったり、で公開されていないというのが現状のようです。